「……と昨日はネットに書いた人が100人以上いると思う」
「それを言いたかったのか!」
「きちんと届いたので良しとしよう」
「君は届いたんだね?」
「まあな。ヤマトクルーの特別版パッケージのBDだ」
「さっそく全部見たの?」
「いや。本編はSUS潜宙艦戦のあたりから最後まで。あとは映像特典を一通りだけだ」
「結論は?」
「先に言っちゃうとやはりDC版大好き。おいら復活編派。特にDC版派」
DC版ヤマトクルー限定版感想 §
「というわけで、本編は劇場で3回も見ちゃったので、目玉は2つだ」
「3回って7回しか上映してない映画では多すぎだろ」
「まあまあ」
「で、2つって何?」
「1つは、小林+羽原対談映像。非常に良いのはオーディコメンタリーでは無いところ。映像を見ながらの対談だが、編集してあってまとまっている。だらだらだと長く続かない。そこは美徳。対談の中身もいろいろ面白い。本音の心情が聞けるのもいいところ。オレヤマト論とか」
「オレヤマト論?」
「だからさ、オレヤマトをやろうとしてしまったが、本当はみんなのヤマトは何ですか、って考えることが重要だったんだ」
「そうか」
「それから小林さんの卒業の意味も分かった。確かに卒業したんだ。でもOBは母校に戻ったんだ」
「留年じゃ無かったんだね」
「うむ」
「じゃあ、もう1つは?」
「付属のオリジナル版とDC版の対照表。かなり厚みがあってとても簡単に見切れないほどのボリュームがある。まだ全ページ見てないほどだ。見てもみても終わらない膨大な修正箇所がある。ところどころ原画等のオマケも入っているが微々たるものだ。79ページまでページ番号が振ってあるほぼ全てが相違点リスト」
「そ、それは……」
「第1艦橋に来たメッツラーの瞳が描き直してるとか、そんな細かい修正まで!」
「ひー!」
「そこまで直した方も直した方だが、リストをまとめた方もまとめた方だ」
「凄いね」
でも本当は §
「でも本当に凄かったのはここ。本体パッケージ内の解説。たぶん普通版でも入っている紙。氷川竜介さんの文章のここ」
「いま存在しているものが簡単に喪われるかも知れない可能性に何の疑いをもたない」という現代人の想像力欠如の傾向については、全面賛成ではないにせよ、否定できない部分を日々強く感じている。
(中略)
だが、「アニメの基盤が喪われれば、ヤマト以前への逆戻りぐらいはいつでもあり得る」ぐらいの危機感は、胸に秘めておいた方が、より真摯にアニメに接することができるのではないか。
「どこが凄いんだい?」
「「いま存在しているものが簡単に喪われるかも知れない可能性に何の疑いをもたない」という現代人の想像力欠如の傾向については、全面的に賛成しよう、常日頃思っていることと同じだ。日本人は緊張感がなさ過ぎる。何もせずあぐらをかいて現状が維持できるとは思うなよ。日本は既に遺産の食いつぶし段階に入って久しい。遺産はいつか食いつぶす。でも、そういう危機感をきちんと持っている人などほとんど見ない」
「ひー」
「もしも西崎さんがそういう認識を持っていたのなら、西崎さんが作ったヤマトに特別な思い入れがあるのは当然だな」
「ホントかよ」
「それから、「アニメの基盤が喪われれば、ヤマト以前への逆戻りぐらいはいつでもあり得る」というのは危機感じゃなくて、現在進行形の事実と認識している。だから、危機感を胸に秘めろという精神論は甘過ぎ。むしろ、アニメを適切に収束させて軟着陸させる方法をきちんと考えるべき段階だ。しかし今のままでは硬着陸だろう」
「なぜ着陸しか考えないの?」
「いい質問だ。かつてアニメには現物をカメラで撮影できないものを描くのに有利という決定的なアドバンテージがあった。しかし、VFX時代の今、そういうアドバンテージはない。並み居る表現手段の1つにアニメは縮退しているが、特に優れているというわけでもないし、安価というわけでもない。もちろんアニメにもいいところはあるが、今のアニメ業界はそれを活かせてはいない」
「えー」
「だからさ。アニメの世界にどっぷり浸かってる人と、たまたまブームだから見てた人では、発想が違うってことだ」
「それだけ?」
「いいや。おいらは最初からアニメブームが終わる日、ヤマト以前の世界に戻る日を想定していた。最初から想定していたんだ。それが来るのは当たり前だと思っていたんだ。予想外だったのはアニメブームが長く続いたことだが、それは終わりの有無とはなんら関係が無い話だ。たとえ10年続こうと、20年続こうと、終わる日はあるし、事実、終わりつつあると認識している」
「ひー」
「アニメは実力以上に成功しすぎた。自分の認識はそういうことだ。だから永遠に続くアニメの王国は存在しない。その王国を守護する騎士になろうとしてもなれない。もともと無いものなんだから」
「きついなあ」
「でも本当に重要なのはこっちの方だ。「いま存在しているものが簡単に喪われるかも知れない可能性に何の疑いをもたない」という現代人の想像力欠如って話だね。確かにみんな想像力がなさ過ぎる。具体例は書いてみたけど脂っこすぎるので削除するが。まさに開いた口が塞がらない脳天気すぎる反応だ」
「きびしー」
「ひねくれケメコが追ってくる程度の想定すら危機を意識できない現代人には、どんな薬を付ければいいのだろうね」
「ひねくれケメコってどんな危機だよ」
オマケ §
「2199の上映情報なのだが」
「うん」
「横浜ブルク13をウルクと読んだ人は手を上げて!」
「はーい!」
「札幌シネマフロンティアをガンフロンティアと読んだ人は手を上げて!」
「はーい!」
「特製七連コレクションショートを六連トランジション波動砲と読んだ人は手を上げて!」
「七連と六連では混同せんわい。間違って読むか!」
オマケ2 §
「今日の発見。宇宙戦艦ヤマト2199は」
「宇宙戦艦ヤマト2199は?」
「途中で切れるとただの宇宙戦艦ヤマト2」
「ぎゃふん」
オマケHD §
「フルHDの再生環境欲しいなあ」
「持ってないの?」
「今の環境はただ単にBD再生できるだけの前提で揃えたものだからなあ。D4相当の解像度しか無い」
「今となっては寂しいね」
「まあDVD以上の細かさなのは事実だけどね」